何回かゲームとは似て非なるモノ「ゲー無」について述べてきた。
ゲー無とは、ゲームの様な体裁だがプレイする(している)感覚が無いモノ、と定義して差し支えないだろう。
プレイ感覚とは、人それぞれなのだろうが「プレイ=遊ぶ」という事はどういう事なのか?
ゲー無の代表ともいえる「クリッカー」。コレについては別コラムで述べている。
クリックするだけで、多くはエロいグラフィックと対の行為だ。クリックは操作であるがプレイではない。連打しているだけで楽しいと感じるのは、無知な赤ん坊が手に持ったものを投げ付けて笑う事と同じで意味はない。そもそも、エロい画を見る為に連打してる姿は、あまりにも滑稽だ。
クリックするだけでエロい画が見られるのは楽しいじゃないか、という人も居るだろう。しかし、エロい画を見たいだけならグラフィック集でいいではないか?そこに意味の無いクリック行為を付ける事の意味が判らない。
もう一つのゲー無代表は「放置型」。
これは、読んで字のごとく起動だけして何もしなくていいというタイプ。もう、有無を言わさず遊んでいる感覚は皆無だ。具体的には、起動するだけでポイントが溜まり、ポイントが溜まったらエロいグラフィックが開放される、という感じ。
セックスプレイのジャンルでの放置プレイというモノがあるが、それは双方の願望が一致しているから楽しいのであって、片方だけ粋がっているのは、やはりみていて滑稽なだけだ。
多くのゲー無はエロと結びついている。
これは、元を辿るとその祖先がPC-98等で発売されていた「美少女ゲーム」に行き着くからだ。
美少女ゲームは、ゲームを遊んだご褒美にエロいグラフィックが表示されるゲームで、80年代後半から大きく躍進したジャンル。元々一般ゲームの模倣にエログラフィックを付け足したような存在で、ゲーム部分は2の次3の次という扱いで、そこそこ遊べれば満足、という構図があった。
こうした構図の中、急成長した美少女ゲーム界に求められたのは、てっとり早くエロい画を見せろ!というモノだった。そうした中誕生したノベルゲームは、基本文章を読んで途中いくつかある選択肢で物語が変化するという仕様だった。100歩譲って、選択により物語に変化が出てくるのでゲームと呼べるかもしれないが、時代が進むとその選択肢すら要らないというモノが登場する。
ここが一つのターニングポイントで、その選択肢すらないビジュアルノベルをゲーム扱いしてきた事が問題だった。ゲーム制作会社が作ったのだからゲームだ、という思い込みでメディアでもゲームとして紹介されてきた。
そうした誤った思い込みを製作者、ユーザー共に受け入れてきた為、クリッカーや放置型というゲームではないモノもゲームと思い込んでいるのだ。
誰も損していないから良いではないか?と思われるかもしれないが、個人的には真面目にゲームを作っている製作者や、ゲームを楽しみたいと思っているユーザーには、同じ土俵はおかしいだろう、と思われても仕方ないと感じている。この感覚は、未だにエロゲーが一般ゲームの下に位置するという思い込みから来るのだろう。
もちろん、ゲー無と言えども製作者はふざけて作ってはいないと思う・・・が、そう思わせない雰囲気を醸し出しているのが、今回問題としたい放置型だ。
上記画像は「Sexy Airlines」というゲームの画像。基本無料のゲー無だ。
飛行機を運行し、運行距離によって稼げるお金で、フライトアテンダントのエロい画像をアンロックしていく。スタートこそ手動で飛行機を離陸させるが、お金でフライトアテンダント(女性)を雇う事で自動で運行させる事が可能となる。そして、雇ったフライトアテンダントのエロい画像を観る為に放置するという内容。
エロ画像を観る為には、行動力を使いメールのやり取りをしなければならないが、基本は2回しか送れない。行動力の回復は時間、もしくは課金だ。
この課金が問題。
ソーシャルゲームでは当たり前の課金システム。強力なアイテム等は課金で手に入れなければならないという常識。
課金自体は問題ないのだが、やはりそれはゲームだからだ。上手くなりたい、強くなりたい、先に進みたい、その為には課金がお勧めですよ、という事なので、ゲームを楽しむ為の課金なので納得がいく。しかし、ゲー無に課金は如何なものか?
確かにグラフィックの質が高く、エロいとなれば観たい!という欲求は高まる。しかし、遊ばせもしないのに、見たければ金払えというのは納得できないだろう。だったら、最初からグラフィックノベルかCG集にしておけばいいのだ。
課金システムで次々にアイテムを買い、グラフィックを開放していったとして、その金額に見合う内容なのか?という事だ。ゲームとして納得できる金額で収まるならば良いだろうが多くの場合そうではないだろう。
根気があれば無料で全てのグラフィックをアンロックできるのかもしれないが、今度は逆にそれだけの時間に見合ったモノなのかどうか、という事になる。ゲー無にそれを求める事は酷であろう。
課金というアコギな商売を行う事で、ただでさえ良い印象の無いゲー無の地位が貶められている、というのは言い過ぎだろうか?
その最たる例が、「デッドオアアライブ エクストリームヴィーナスヴァケーション」だ。
対戦格闘ゲームデッドオアアライブの女性キャラがバレーボールで対戦するスポーツゲームだが、ゲームの目的はバレーボールではなく、女性キャラに好みの水着をコーディネートする事。これ自体は立派なゲーム性があると言えるが、その水着はゲーム内ポイントでのガチャ頼み。で、そのゲーム内ポイントを集める為にせっせとバレーボールの試合をするわけだが、バレーボールパートは(ほぼ)自動。しかもスキップする事が出来る。
つまり、やっている事は上記の「Sexy Airlines」と同じ放置型なのだ。
素晴らしいグラフィックを盾にしたユーザーをバカにしたこの殿様商売に気づいた時、私はプレイを止めた。
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