ゲームキャラクター(論)
- 竜騎士
- 11月5日
- 読了時間: 8分
更新日:12月3日
ゲームには様々なキャラクターが登場する。
自分で操作するキャラクターから、敵として登場するキャラ、背景に描かれるキャラ、と様々だが、プレイする毎にゲーム内のキャラクターに感情移入していく事は多々ある。
現在はリアルなグラフィックでキャラを描く事が可能で、更に映画的な演出でその魅力を十二分に発揮させる事が可能だ。
特に対戦格闘ゲームは、キャラクターの魅力でゲームプレイのモチベーションが決まる位の重要要素となっている。それは、基本的に人間(または人間の様なフォルム)が描かれるからで、人間として自分に近い姿には親近感を持つからだろう。
数多くの対戦格闘ゲームが登場し、多くのキャラクターが生み出されてきた。そして、そのゲームに登場するキャラクターは、ゲームそのものの魅力に直結している。それは、ゲームシステム云々を飛び越したものであり、キャラ人気が高いゲーム=売れるゲーム、という事でもある。
如何に魅力的なキャラクターを創り上げるかは、対戦格闘ゲーム開発では売り上げを左右する大きな要素とも言える。
同じ様なゲームシステム(操作系)であれば、プレイするかどうかの判断材料はズバリ「見た目」だ。ルッキズム云々と騒がれた時もあるが、これは世の中の流れであり、ゲームに限らず同じ商品であれば、人は見た目に良いモノを手に取る傾向にあるはず。
対戦格闘ゲームは大きく2Dと3Dに分けられるが、2D対戦格闘のアニメ的にデフォルメされたキャラクターは、判り易くアニメ文化圏では違和感なく受け入れられた。2D対戦格闘の2台巨頭「カプコン」「SNK」は、共に魅力的な(2D)対戦格闘ゲームを代表するキャラクターを生み出し人気を維持してきた。この「アニメ的」「漫画的」という、いわゆる日本が生んだサブカル的キャラクター表現が重要で、アニメからの派生であるゲームと当然相性が良い。
これまで対戦格闘ゲームが判り易いので例として取り上げて解説してきたが、ゲーム内に登場するのであれば、どんなキャラクターにも感情移入出来る要素はある。
このコラムでは、私がこれまでプレイして来たゲーム内のキャラクターについて思う事を記していこうと思う。
①「春麗」

「ストリートファイターⅡ」に登場した女性格闘家(設定は刑事)。
ストⅡ登場時は漫画家になる為に漫画を描いて投稿、というか持ち込みをしていた時代だ。
ゲーム発売当初はそれほど遊んでいなかったが、このキャラクターデザインに惚れ、同人誌も作ったし、2作目に描いた漫画の主人公がモロに被っていた・・・^_^;
このキャラクターの与えた影響は、ゲームだけではなく漫画・イラスト・同人誌・コスプレとサブカル界隈に大きく広がって行った。このサブカルへの影響で最も大きいと感じたのは、コスプレイヤーへの影響だ。それまでコスプレは漫画やアニメのキャラクターが対象だったが、このキャラの登場以降ゲームキャラが加わり、対戦格闘ゲームブームに乗り、そちらの割合が大きくなっていった。
また、その後の対戦格闘ゲームに於いて女性キャラは必須である事を決定付け、強い女性の台頭を肯定する切っ掛けとなった偉大なる始祖とも呼べる名キャラクターだろう。
②「不知火舞」

「餓狼伝説2」に登場した女性格闘家(設定は不知火流忍者)
カプコンと2D対戦格闘ゲームの覇権を争っていたSNKは、NEO・GEOという独自プラットフォームでゲームセンターの一角を占有していた。
100メガショックシリーズの第2弾として発売された餓狼伝説2はストⅡを研究した造りで大ヒット作となり、その後のSNKの人気に火をつけた。
そして、その人気の一翼を担っていたのが紅一点キャラである不知火舞であった。
このキャラを一言で言えば「破廉恥」。とてもではないが忍者と呼べない露出度で、男子には人気爆発なキャラとなった。ゲームとしてストⅡ、キャラとして春麗と人気を二分する事になった。
そして、このキャラでコスプレイヤーのエロ度がUPする事となる。キャラを忠実に再現するとかなりのエロさとなるが、女性コスプレイヤーの定番キャラとなった。
コスプレイヤーは、ゲーム業界への人の流れを作ったと言える。(エロい)コスプレ目当てで原作キャラを知り、ゲーセンへ足を運んだ人はそこそこいたと思う。
③「マイク・ハガー」

「ファイナルファイト」に登場した戦う市長。
ゲームのプレイヤーキャラは(概ね)青年か色気のある女子と相場が決まっていたのだが、このキャラはおっさん。しかも筋肉モリモリのマッチョだ。今ではそうでもないが、当時はこの奇抜な見た目(更に市長という設定も)が、大ウケした。ちなみに、伝説のアーケードゲーム誌「ゲーメスト」のゲーメスト大賞ベストキャラクター賞で1位を獲得した事もある。
ファイナルファイトはボタン一つで多彩な技が繰り出せる仕様が面白いのだが、このハガーはプロレス技(バックドロップ、ドロップキック、ボディプレス、ジャンピングパイルドライバー)が豊富で、プロレス好きの身としてはかなりお気に入りだった。(とはいえ、実際は上級者向けキャラで、使用キャラはコーディだったが・・・^_^;)
今観ても技の動きはスムーズで操作していて気持ちが良い。これは、ヌルヌルとリアルに動いているのではなく、上手くアニメーションのコマを省いて漫画的なスピード感を出しているのだ。ハードの性能にもよるが、こうしたゲームとしての爽快感を出す事は、この時期のカプコンは上手かったと思う。
④「溝口誠」

⇑画像はファイターズヒストリーダイナマイト 「ファイターズヒストリー」に登場した高校生(笑)。
キャライメージは漫画「魁男塾」に登場するキャラだと思うが、登場時でも「こんな奴いね~よ」と思わせるほどの昭和感を漂わせていたバンカラキャラ。
前述のハガーもそうだが、結局ギャップのあるキャラは印象に残り易い。このキャラも当時イメージが薄くなっていたバンカラ、という部分を押し出した事でウケたキャラで、スーパーファミコンでフィーチャーされた作品が出たり、他の格闘ゲームにゲスト出演したりと、人気キャラとなっている。
スマートな社会になりつつあった当時、バンカラはダサいというイメージもあり、バカキャラの要素が強いのだが、下に見られながらも愚直に戦ってる部分が、日本人ウケしたのではないか?と考えている。
⑤「キャミィ」

「スーパーストリートファイターⅡ」に登場した女性格闘家。
ストⅡは、このスーパーストⅡ登場までに、ダッシュ・ターボとマイナーチェンジを繰り返してきたが、ここで新キャラ+グラフィックの描き直しと、大きな変化をする事になった。
この時期は対戦格闘ゲームの群雄割拠時代で、各社から続々とタイトルが発売されていたし、魅力的なキャラが多数登場していた。
春麗・不知火舞の女性キャラ2台巨頭の人気は(全く)衰えていなかったが、そこに風穴を開けたのがこのキャミィだろう。
とにかく見た目の露出があからさまに多く、新キャラの中で紅一点であったし、同じストⅡの春麗との(嫁姑の様な)対立で(キャラの性能はともかく)人気が爆発した。
このキャラは、不知火舞に対抗するキャラとしてデザインされた事は明白で、言ってみれば、ここからカプコンとSNKの2D対戦格闘ゲームの対決構造が始まっていったのではないだろうか?
⑥「アンディ・ボガード」

⇑画像は「餓狼伝説2」。
餓狼伝説に登場した主人公キャラの一人。もう一人の主人公キャラ「テリー・ボガード」の弟。
このキャラの思い出は、何と言っても「骨法」の使い手、という設定だ。
「骨法」は日本の古武道であるが、堀部正史氏が「喧嘩芸骨法」として(当時)現代に蘇らせた武芸だ。それが(アントニオ猪木を始めとする)プロレスラーに伝わり、一般に名が知られる様になった。プロレスが好きな私もそれで骨法を知り、関連書籍を読み知識を蓄えて行った。
餓狼伝説は格闘ゲームとしては黎明期に発売されたゲームだが、2になるとストⅡを研究して精錬されて行った。中でも、キャラクターの演出はストⅡにないモノがある。
そのキャラの個別化を図る為、様々な流派の格闘家が登場するが、その中でマイナー流派であった「骨法」を使うという設定は個人的に刺さった。キャラの動き(グラフィック)が、書籍で見た動きそのままで、これはしっかり勉強しているんだな、と感心した事を覚えている。
3D対戦格闘ゲームでは、モーションキャプチャでリアルな動きを再現出来るが、2Dではグラフィッカーの腕の見せ所となる。このキャラに関しては、本当にリアルな動きに見えるように作られているのだが、骨法自体がマイナーだった為、恐らくほとんど気付かれなかったのではないだろうか?
⇑左上から「突き返し蹴り」「回転打ち」「摺り蹴り」「変形曲がり」「竜巻蹴り」
各モーションは、本当によく出来ている。
⑦「キング」

⇑画像は「龍虎の拳2」。
SNKの「龍虎の拳」に登場した格闘家(バーの用心棒)。少年の様な容貌だが、実は女性だった、という部分で記憶に残るキャラ。正体が判明するのが、必殺技でKOされた時に「服が破れる」という演出があった為。必殺技の威力を示す為の演出だったのだろうが、女性キャラだけの演出だったので、今の時代であれば何か言われるかもしれないが・・・^_^;
2以降は、普通に女性を打ち出していてインパクトは減っていくのだが、初代の記憶は様々な部分に引き継がれていく事になる。
この実は女性だった・・・というギャップ演出は、ファミコン(ディスクシステム)で発売された「メトロイド」の衝撃が一番なのだが、頑張れば脱がせる事が出来る!と少年の心に良からぬリビドーを植え付けたのではないだろか?(笑)
その流れ(?)を引き継ぐゲームが、アーケードゲームで登場した事は結構な衝撃だった。公共の場であるゲームセンターで、エッチな画像を(能動的に)見る事が出来るという衝撃。(脱衣麻雀は除外)
そういう意味で、忘れられないキャラである。
<続く>


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