美少女ゲームとは、80年代後半から国産PCで花開いたパソコンゲームの1ジャンル。
PCゲーム初期のいかがわしさ漂うアダルトゲームが進化し、当時人気だったアニメ調美少女のグラフィックを前面に押し出したゲーム達。
乱暴な言い方をすれば、それまでのPCゲームジャンル(ロールプレイング、アドベンチャー、シミュレーション)にステージやミッションをクリアする都度、Hなグラフィックが表示されるという、脱衣麻雀のゲーム性を加算したモノだった。そのエッチなグラフィックを観る為に、時に理不尽な難易度のゲームをプレイしていたものだ。
そう、美少女ゲームは、紛れもなくゲームだった。
そんな美少女ゲームは、ドラゴンナイトの登場でPCゲーム界の勢力図を塗り替えていく。PCの性能UPに伴いビジュアルを売りにするゲームが増加する事は当然で、時代背景としてアニメ調の絵柄は持て囃された。その中で、かわいい女の子(美少女)がウリのゲームが売れないはずはない。しかも、エロいとなれば、当時のPC購買層である男子高校大学ユーザーが喰いつかないはずがない。90年代半ばを過ぎると、当時の国産PCの雄PC98シリーズで発売される大半が美少女ゲームだった、とは言い過ぎだろうか?
ところが、売れるジャンルで発売されるタイトルが多くなる中、よりアダルトな方向に舵が切られるソフトが登場する。
先に述べた様に、グラフィック技術の向上で、よりカワイイ、エロい美少女を描けるようになると、グラフィックを見せるだけのアドベンチャーゲームが幅を利かせてくる。
時代的には、スーパーファミコンソフト弟切草の登場で、ノベルゲームが脚光を浴びてた為、それに追従する形でエロ弟切草とでも言うべきゲームが多数発売された。
ノベルゲームは、繰り返し遊ぶためにそこそこの選択肢が登場するが、時代が進むと選択肢さえほぼ現れないグラフィックノベルとでも呼ぶしかない作品が登場し、幅を利かせる。
ここに、ゲームから離れエロだけを追い求めるエロゲーが誕生する。
ゲーム性を放棄した時点で、個人的にエロゲーと美少女ゲームは別物と割り切っている。 そして、ゲーム性の無いものは、当然ながらゲームではないのでエロゲーという呼び方も出来ればしたくない。
呼ぶならゲー無が妥当だろう。
このゲー無は、更に萌えキャラブームに乗り、似たような萌えキャラが跋扈するフィールドとなり、それは現在も続いている。多様性すら消え、ただ単に萌えキャラのエログラフィックが垂れ流される現在の状況は、遊べる美少女ゲームを体験してきた身としては、非常に殺伐とした世界にしか見えない。
勿論、ゲー無といえども、シナリオが素晴らしく人気のある作品はある。否定はしないがゲームと名乗って欲しくない。エロゲーではなく、エログラフィックノベルとでも名乗って頂きたいのだ。
ゲームと名乗っているのに、プレイヤーに「これゲームなの?」と問われる様な作品を作って欲しくないのだ。
ただの面倒くさい人間の戯言に聞こえるだろうが、例え美少女ゲームでもしっかり遊べる(ゲーム性のある)ゲームが好きだから、ここはどうしても主張しておきたいのだ。
<了>
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