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執筆者の写真竜騎士

「ファミコン探偵倶楽部 PARTⅡ うしろに立つ少女」

更新日:9月15日

*ネタバレ画像有ります。

ニンテンドーがファミコンディスクシステムで発売した、コマンド選択式アドヴェンチャーゲーム。*リバイバルやリメイクもされているが、初代はディスク2枚(前後編)だった。

空木探偵事務所に所属する少年探偵である主人公となり、丑三つ高校の女子生徒殺人事件の解明に挑む。事件を追う中で高校に伝わる怪談「うしろの少女」がクローズアップされていく。果たして、女子生徒はなぜ殺されたのか?学校に潜むうしろの少女の正体とは?


アドヴェンチャーゲームは、物語の主人公と共にテキストを読み進めながらストーリーを追体験していくゲーム。初期の頃はコマンド入力式で、自分でどう行動するか文字入力し物語を進める形だった。後に簡易コマンド入力が進化した、予め用意されたコマンドを選択して進めるコマンド選択型が主流となって行く。


このゲームはファミコン初のアドヴェンチャーゲーム「ポートピア連続殺人事件」の流れを汲む探偵モノで、ファミコンユーザーをターゲットにして主人公が少年探偵という設定。その割に物語は結構ハードで、少年探偵には荷が重いのでは?と感じるが、そこはゲームと割り切った方が良いだろう。

殺人事件と学校の怪談を組み合わせたストーリーは当時のユーザーには馴染みある舞台と設定で、物語に引き込む効果は十分にあった。


コマンド選択式は、いわゆるコマンド総当たりで物語を強引に進めて行く事が出来る安心感があるが、同じ事の繰り返しで行き詰る感覚を味わう事になる。しかし、このゲーム(のシリーズ)は、演出面でその閉塞感を感じさせないようにしている。

重要なセリフやシーンではBGMが変化し、テキストの表示速度や効果音が変化する。キャラクターの表情も変化し、プレイヤーに「何かある」と自覚させる演出だ。

また、数は少ないが推理によりコマンド(重要人物の名前)入力を迫られる場面もあり、より物語、主人公に感情移入が出来るような演出が施されている。


物語は学校の怪談がモチーフであり、最初から重苦しい雰囲気が漂う。それが最高潮に演出されるラストシーンは、ある意味このゲームからのトラウマとして当時のプレイヤーに刻まれたのではないだろうか?ファミコンの限られた能力で、ここまでインパクトのある演出を見せてくれた事には、純粋な賞賛しかない。


先にも記したが、この作品は何回かリメイクやリバイバルされている事から、その人気度合いが判るというモノだが、更にニクいのは、この作品はPARTⅡであるが、この作品が前作PARTⅠ(消えた後継者)の前日譚であるという演出。今では珍しくない演出だが、当時は「なるほど」と感心しきりだった。


実を言うと、ニンテンドー発売のファミコンアドヴェンチャーゲームには名作が多いのだが、この作品は群を抜いて素晴らしい出来だ。ともすれば行き詰まりに辟易する場面(マップ移動とか)も多いのだが、それでも何回もプレイしたくなる作品はこの作品だけだ。


ファミコン探偵倶楽部シリーズはこの作品が最後にシリーズが途絶えていたが、2021年にシリーズ最新作が配信された。これも、この作品のファンの力であると信じたい。


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