今回の特集はレトロ風ゲーム。
今の時代レトロ風ゲームというと、どんなゲームを思い浮かべるだろうか?・・・正確には、どんなゲーム機を思い出すだろうか?
昭和世代が思い浮かべるのは「ファミコン」だろう。説明不要の家庭用ゲーム機初期に頂点に立ったゲーム機。
しかし、今の時代ファミコンを知らない世代もいるわけで、逆にファミコン風のゲームは目新しく映るかもしれない。
そんなわけで、現在レトロ風ゲームといえば、初代プレイステーション(PS)風のいわゆるローポリゴンゲームではないだろうか?インディゲームではローポリゴンというジャンルもある位で、ある意味ひとつの文化として成り立っている。
では、何故ローポリゴンがレトロゲームの(現時点での)代名詞となっているのか?
現在のゲームのグラフィックはほぼ3DCGで描かれている。その3DCGをメインに、ファミコンに代わり家庭用ゲーム機の覇者となったのがPS。ドット画から空間を意識させる3DCGへの変換は革新的で、それ故にそのインパクトは世界中のゲーマーに焼き付いた。そういった衝撃を受けた子供や青年がゲームを作る(作れる)立場になった時に、そのオマージュとしてローポリゴン風ゲームが作られているからではないだろうか?
また、ファミコン世代からゲームをプレイし続けている(私の様な)人が、ノスタルジーを感じて支持する、という部分も大きいと思う。
確かにノスタルジー的な部分は支持するに値する原動力の一つではあるが、もう一つ付け加えるならば、今の技術で敢えてロートル感を出す演出としての(エミュレーター的)技術に感動する、という部分もあるだろう。
当時コンピュータゲームは家庭用とゲームセンターのアーケードマシン、そしてPCで住み分けが出来ていた。各ゲーム機(PCはゲーム機ではないが、主にゲームで遊ばれていた)で、解像度を始め処理能力に歴然の差があった為だ。感覚的には「アーケード>PC>家庭用」という順位だったと思う。
PCは半分以上美少女ゲーム(エロゲー)専用機と化していき、ゲームに関しては家庭用とアーケードゲームとは別のベクトルを進む事になる。
2000年代に入り、PS2・ドリームキャスト・Xboxの登場でアーケードゲームとの差が無くなり、ゲームの主流は家庭用へ逆転する。家庭用とPCはどんどん性能が上がり、ネット接続が常態化してくると、完全にアーケードゲームは取り残されてしまった。
性能の上がった家庭用・PCはゲーム性を考えると「何でも出来る」状態になってきた。
実際、PS登場以前はアーケードゲームの移植は、そのままという事は不可能だった為、かなり知恵を絞った移植作品が多く、それはそれで多くのアレンジ名作を残してきたのだが、ファンは完全移植を望んでいた。しかし、性能の上がった家庭用ゲーム機・PCでは四苦八苦してきたアーケードゲームの完全移植等も(性能的には)簡単に行える様になった。
この段階で移植ではなく、当時っぽいゲームを作ろうという考えが出てくるのは必然であろう。
バイオハザードを始め、オマージュすべき良質ゲームも多数出ていた事も大きい。当時ヒットした名作っぽい新作が、当時っぽいグラフィックで作られればユーザーへの訴求力は自然と高くなるだろう。
こうして作り続けられるレトロ風ゲームだが、先に例を挙げたファミコンから始まり、流れ続ける歴史と共にレトロの概念が改まり、これからも作り続けられていく事だろう。
レトロ風ゲームを楽しみながら、当時のゲームに想いを馳せ、そこから実際のレトロゲームをプレイするという、温故知新な流れを作る事がレトロ風ゲームのもう一つの役割かも知れない。
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