私とパソコン(PC)との出合いは、PC9801用ソフト「セイバー」との出会いから始まった。PC自体に触れたのは、近所の子が持っていたPC(多分PC6001シリーズ)で「デゼニランド」というアドヴェンチャーゲーム(AVG)を遊んだ事が初めてだった様に思う。コマンド入力という遊びは、ファミコンで満足していた身には新しい感覚の遊びに思えた。(ジャンルとしてはPC版が元祖とも言えるのだが・・・) しかし、PCは高額商品であり、ファミコンソフトを買うにも四苦八苦していた身分としては、雲の上の存在で欲しいという欲さえ起らなかった。ただ、PCは面白いゲームが遊べる高価なゲーム機として認識していたので、情報誌を買いソフトの情報は仕入れていた。
そんな情報誌に「Beep」があった。 そのある号に載っていた「セイバー」というAVGの記事が私の目を惹いた。いや、正確には同ゲームに登場する「オフェーリア」というキャラクターの写真にだ。オフェーリアはゲーム内のヒロインで、いわゆる美少女キャラ。中学生でアニメ好きだった私は一目惚れでしたね。そして、何を思ったのか読者プレゼントに応募し、当ソフトが見事当選したのだ! 件のソフトが到着したが、肝心のPCは無く無駄にパッケージを眺める日が続いたが、高校入学時に親に泣きつきPCを購入して貰った。セイバーはPC9801シリーズ専用だった為当然98を購入。当時比較的新しかった「PCー9801 VM21」が初代PCとなった。
この懸賞に当たらなければ、PCに触れるのはもっと後になっていただろう・・・
さて、そのセイバーだが、システムとしては当時のAVGの基本システムとも言えるコマンド入力式AVG。コマンド入力式については、ポートピア連続殺人事件の項で述べているので、参照して頂きたい。
ある日、東京に住む「しんじ」は不思議なペンダントを拾う。ペンダントには異世界の少女「オフェーリア」の魂が閉じ込められていた。少女の願いを聞く形で「しんじ」は異世界のアルカス王国を救う為旅立った。 と、まぁ、冒険モノの王道的導入と、美少女キャラ「オフェーリア」で掴みはOK!プレイヤーは「しんじ」となり、反逆者「ザラス」に乗っ取られたアルカス王国を救う旅に出るわけだ。
当時青臭いガキだった私には、完全にドツボの設定。おまけにファミコンとは比べ物にならない解像度の画面に釘付けとなった。何よりも、このゲームのウリは「アニメーション」であり、所々挿入されるアニメ処理には素直にPCすげぇ!と感動しきりだった。神殿でのオフェーリアの眼覚めと、湖でオフェーリアが振り向くアニメーションは今でも感動します。 ゲームとしては、それ程難しい部類では無いだろうが、当時はコマンド入力式の言葉探しとリアクションが楽しく、クリアまでに結構な日数を費やした記憶がある。
さて、PCとの出会いを作ったこのゲームだが、私の画心に火を付けた作品でもある。ヒロイン「オフェーリア」と脇役キャラ「スピカ」を模写していた記憶がある。その頃のキャラクターは間違いなくこのゲームの影響を受けている。そしてその影響は現在の画にも反映されているはずで、私の作画の根本に近い部分を占めている事は間違いない。こう見ると、PCとの出会いでビジュアルの方向性が決まったと言っても過言では無いわけで、そのPCとの出会いを作った「セイバー」には並々ならぬ想いがある。 現在手元には、当時のままのパッケージでセイバーが残っている。そして、私の画心が枯れるまで傍にあり続けるだろう。
↑当時モノです。
パッケージイラストのオフェーリアは微妙な感じですが、ゲーム画面の彼女には一目惚れ。
アニメーション処理がウリ、と大々的に謳っているパッケージ裏。
余談だが、製作者として紹介されている「マスカット」なる高校生のグループは、今どうなっているのだろう?
当時の5インチフロッピー。データは無事だろうか?