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執筆者の写真竜騎士

DOAの迷走

更新日:2023年4月14日


対戦格闘ゲーム「デッド・オア・アライブ6」をプレイしていて思う所があったので、この場で書き連ねていきたい。


デッド・オア・アライブ(DOA)については、別コラムでも述べているので、少し被る部分もあるが、ご容赦願いたい。

DOA6は、シリーズの最新ナンバリングタイトルで、ブレイクゲージ等システム的に前作5から若干変更がある様だが、基本の遊び方(打撃・投げ・ホールドの3すくみ)は初代から変更はなく、オールドゲーマーでも安心して遊べる。

なので、ゲームの基本的な操作感覚や遊び心地は、ほぼ問題ない。


気になる点は、2点。


1点目は、グラフィックの変化。

キャラクターグラフィックが前作(5)と比較し、かなりリアル路線に変更されている。グラフィック自体は背景も含め美しく、今風のゲームのスタンダードなものだと思うが、初代からシリーズを見てきた身からすると、かなり違和感を覚える変更だ。


DOA登場時、3D対戦格闘ゲームの雄はセガのバーチャファイター(2)だった。3Dポリゴン+テクスチャで格段にキャラクターのリアルさが増していて、3D=リアルというイメージを植え付けていた。加えてバーチャファイターは、格闘ゲームとしてリアル志向であり、そのイメージを補強した。


そんな中、初代DOAはアニメ寄りのグラフィック・キャラクターで登場し、個人的に新鮮な驚きを覚えた。

シリーズを重ねていく中でも、DOAのキャラクターグラフィック(特に女性キャラ)は、リアル路線からはデフォルメされたアニメ寄りのモデルだったので、違和感なく遊ぶ事が出来た。(もちろん、システム的にも大きく変化していない事が大きい)

つまり、DOAのキャラってこんな感じ、という一つのブランドイメージが確立されていたのだ。

そこへ来て、待望の新作のグラフィックがリアル路線に舵が切られていた。これは、(Wikiによると)e-スポーツへの採用を目指した為の変更だった。

素人目に、なんでe-スポーツ採用の為にグラフィックをリアル路線に変えなければならないのかはさっぱり判らないのだが、世界がリアルを求めていると勘違いしていたとしたら、ちょっと悲しい。ゲーム自体のシステムが完成されているのだから、ブランドイメージを変えてまでこだわる事ではなかったと思う。

*5の画像

*6の画像


とはいえ、対戦画面でのキャラグラフィックは、ほぼ変化が無いように見えるので対戦だけ楽しむのであれば、ほぼ問題がない。

ただ、DOAは半分以上キャラクターゲームと化しているので、勝利時の演出や特殊攻撃ヒット時の演出等でのキャラクターに違和感を覚える事は、マイナスと捉えられても仕方のない事だと思う。


2点目は、コスチューム関連。

家庭用移植からの伝統で、各キャラクターには複数のコスチュームが用意されていて、ゲームを進める毎に使用できるコスチュームが開放されていくシステムだ。大抵は、ストーリーやアーケード等のモードをクリアする毎に1着づつ解放されていった。5まではそんな感じで気軽にコスチュームを増やす仕様だった。

しかし、6では、各コスチュームに設計図なるポイントが割り振られており、その規定ポイントを集めるまではコスチュームが開放されない仕様に変更されている。更に規定ポイント取得後、別のゲーム内ポイントであるオーナーポイントを使用してコスチュームを買う事で、ようやく解放される。これは、長くプレイしてもらう為のモチベーション維持処置なのだろうが、正直逆効果になっていると思う。

単純に1つのコスチューム解放までの道のりが長過ぎるのだ。

前述のポイントシステム自体は、ビーチバレーゲームでも同様なので、問題は小さい。

しかし、ここからが大問題で、設計図ポイントは割り振りを選べず、ゲームをクリアしても自分が欲しいコスチュームにポイントが割り振られるとは限らないのだ。1P・2P・・・と順番ですらないので、目当てのコスチュームにポイントが割り振られる事をじりじりしながら待ち続ける事になる。

ハッキリ言って、シリーズを通して遊んでいるプレイヤーから見ると、悪手でしかない仕様である。

DOAは、「2」の頃から格段にグラフィックが進化し、初代から押していた女性キャラをより美しく描画する事が出来る様になっていた。

女性キャラは(当然)人気が出て、「3」発売時期には女性キャラをメインに据えたビーチバレーゲームも発売された。(これは現在もシリーズが続いている)

先に述べた通り、この頃からDOAはキャラクターゲームと化しているのだ。

キャラクターに好きなコスチュームを着せてプレイしたい、というのは当然の欲求で、その為に懸命にプレイする。

しかし、限度がある。

キャラクターゲームなのに、キャラクターを自由にカスタマイズできない。ゲーム自体は楽しいが、何故か鬱憤が溜まっていく。そんな状態では、逆にプレイモチベーションは下がってしまうだろう。

ビーチバレーゲームも同様に、コスチュームである水着を収集する要素があるが、こちらは自分で購入する水着を選べる為、欲しい水着をアンロックする為頑張ってプレイしようとする。その違いが判らず、単純にプレイ時間を伸ばそうとしたこの仕様は非難されて当然だと思う。

*DOAXVVの画像


余談だが、現在のビーチバレーゲームでは、水着はゲーム内の獲得ポイントで回すガチャでのランダム取得となっている。しかし、こちらはビーチバレー部分はゲームとは名ばかりの放置ゲー無=ゲームではないので問題がない。

これと全く同じ仕様を導入した事で、しっかりとした格闘ゲームにゲー無の要素を入れてしまった事が失敗の要因であったように思う。

対戦格闘ゲームとしては面白い。しかし、実際はキャラクターゲームでもあるのにキャラクターゲームとしてはイマイチ。


確かに、オールドゲーマーからみれば、3D対戦格闘ゲームの御三家に入ると思うゲームだが、対戦格闘であると同時にキャラクターゲームである、という事を意識していなかった事が非常に残念である。


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