今回読破したのは「ゲームに人生を捧げた男たち」 石井ぜんじ著
元ゲーメスト編集長「石井ぜんじ」氏のインタビュー集。
元は氏の刊行するゲーム系電子書籍「VE」に収録された記事で、そこに加筆されたものが収録されている。
インタビューの対象は、ゲームクリエイターを始めゲームに関係する人物たちだが、中には将棋の棋士の方へのインタビューも収録されている。これは、氏のお気に入りのゲームの題材で将棋がモチーフになっていたモノがあった事と、大きな意味で将棋も対戦型ゲームであるという事実による。
ゲームクリエイターのゲームの面白さに対する想いから、将来ゲーム制作の中核を担う可能性もあるAI技術関係者の話等、ゲームを多角的に捉えるインタビューは読みごたえ十分。
個人的には、ビジュアルノベルのシナリオライターへのインタビュー記事で、ジャンル設定をノベルゲームではなくノベルアドベンチャーとしたという発言が目に留まった。クリエイターの中でも、ノベルゲームはゲームなのか?という疑問の元に行動している人がいる事に感銘を受けた。それは、ゲームの面白さとは何か?を考えている、という事だ。
また、クリエイター以外でゲームの面白さを伝える為に、この時代敢えてゲームセンターの経営に乗り出した人物の行動力は称賛に値する。そして、そのゲームセンターを支えるのは、そうしたゲームの面白さを理解したプレイヤー達なのだ。
ぜんじ氏は、ゲーメスト編集長時代から編集後記等でゲームやゲームを取り巻く状況にコメントを寄せていて、個人的にその考えに深く共感していた。ある意味私のゲームに対する考え方の師匠とも(勝手に)思っている。
ゲームを取り巻く環境は、ゲームセンターの時代から大きく様変わりしているが、それでも新しい技術と共に、ゲームの面白さも進化してきている。それは、オープンワールドでのCPUのリアルな動きであったり、新しい対戦の様式だったり様々だ。
しかし、重要な事はただ一つで、ゲームは楽しめるモノである、という事実。
その為に、ゲームの楽しさとは何か?について考察する機会に、この書籍が一助になる事を願ってやまない。
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