12月に入り年の瀬も迫る中、今年1年プレイしてきたゲームを振り返り、年間ベストゲームを発表していきたい。 尚、タイトルは2022年に発売・購入したものに限らず、純粋にプレイしたゲームのランキングとする。
そして、当然ながらランキングは私個人の独断と偏見である。
特別賞「Yamalover」
今回の特別賞は、昨年に続きエロアドヴェンチャーゲームが受賞。海外製ではあるが、日本の山手線を舞台にした、電車の中で知り合った女の子とデートを重ねていく内容のエロアドヴェンチャーゲーム。
紹介ページにも書いたが、このゲームは90年代に一世を風靡したPC美少女ゲームメーカーの雄「elf」の大ヒット作「同級生」を彷彿させる。女の子と出会う⇒デートの約束をする⇒約束の時間に駅を降りる⇒デート(最終的にはSEX)をする。この時間(日時)を管理して行動する部分は恋愛ゲームの基本だと思うが、その元祖が同級生であるわけだ。
女の子との約束はSNSを通して行われるが、これは(同級生時代であれば)面倒な手順を省いてお手軽に出会えるという今の時代を反映した演出だ。
また、山手線が舞台なので車内のシーンが重要なのだが、その描写が良く出来ている。車内アナウンス・乗客の声・駅構内のアナウンスやドアの開閉音がリアルに再現されており、山手線に乗った事がある人ならばそれだけで臨場感が味わえる。下手な話、自動で進む車内の様子を眺めているだけでも面白い。
アドベンチャーゲームと紹介したが、実際には選択肢などが表示される事はなく、単純に女の子に指定された日時(正確には時間)に指定された駅を降りるだけである。言ってみればある程度自由に動けるグラフィックノベルと呼べるモノ(ゲームの紹介ページでもグラフィックノベルと紹介されている)だが、複数の女の子とのデート時間から最適な経路を考えて行動する事は、立派なゲーム性と言えるだろう。もちろん、面倒な事をせず一人一人攻略していく事もできるので、グラフィックノベルと考えると逆に面倒な部類かも知れない。
紹介してきたように、ゲームなのかグラフィックノベルなのかはプレイヤーに委ねられるが、個人的には同級生リスペクトの立派なゲームであると思うので、今回の特別賞とした。
単純に女の子に会う為に指定された駅で降りる、という行動は、実際のデート感を十分に満たしてくれる要素で、自分で行動して感情を揺さぶられる点に関しては、十分ゲームと言える。ここに眼をつけた開発者には称賛を送りたい。
尚、このYamalover は、アーリーアクセス(EA)である。
複数の女の子と同時に約束をする事が可能で、デートの為の経路を考える事がゲーム性である事は述べたが、一人の女の子に絞り行動する事も可能で、更にデートに遅れたからと言ってなんのペナルティもない。(違う日付で時間に合わせて駅を降りる事で普通にイベントは進む)この辺りに調整が入るとゲームとして前進できるはず。
リアル寄りではあるがアニメ的なグラフィックも素晴らしいし、エロ描写もマイルド。ゲーム寄りに調整する事で間違いなく面白い作品になる可能性を秘めている。
アクション3マッチパズル。
パネルを動かし同じパネルを3つ(以上)揃えて消していくというのが、一般的な3マッチパズルだ。落ちモノパズルの変形ともいうゲーム性で、「揃えて消す」=「気持ちがいい」という人間の心理に影響するゲーム性は不変である事が判る。
このゲームはその基本的ゲーム性にプラスして、マッチングに時間制限を設けた事が大きな特徴。画面上部のマップに現れる敵や扉という障害を、対応したパネルをマッチさせた攻撃で突破していく。常に後ろから追いかけられる展開で、息をつかせずパネルをマッチさせ続けなければならず、その緊張感が面白いのだ。この仕様で、早指し将棋のようなスポーツ的な面白さが高まったと言える。
そのお手軽なゲーム性から、とかく、3マッチ=ご褒美のエロいグラフィック、と思われがちだが、ちょっとした仕様の変更で、グラフィックに関係なく楽しさを提供出来る事に気付かせてくれたこのゲームはベストゲームの一つに相応しいだろう。
4位「Fighting Robots」(旧「Robot88」)
いつの間にかゲームのタイトルが変わっていたが、4位はロボットにオリジナルの攻撃モーションを付けて戦う対戦格闘ゲーム「Fighting Robots」。
対戦格闘ゲームに於いて、各ファイターが使う技で好きな技・嫌いな技というものがあると思う。そして、ゲームにハマる程「自分だったらこんな技を入れる」等と妄想していく。そんな中二病的妄想に手を入れたのがこのゲーム。オレ好みの技を使って、オレ好みのロボットが戦う、オレロボット対戦格闘ゲーム、それがこのFighting Robotsだ。
このゲームのコンセプトは、この「オレ好みの」という部分に注力した所で、自分が作った技(ロボットが強いか弱いかは別問題)で、オレはこの技が好きなんだ~!という自分勝手なリビドーをぶつける事がゲームの嗜みとなっている。(本当か?)
ただ、実際対戦では極端な技(地面にめり込んでいる・軸がズレている)が強く、当然ゲームとしては破綻してるのだが、これがこのゲームのコンセプトそのモノなのだ。対戦バランスは二の次という、正にオレ好みのみというエゴを前面に打ち出すという事が、このゲームの真のコンセプト。
この段階で、このゲームは対戦格闘ではなく、対戦格闘を模したオレロボット発表大会と化しているのだ。もちろん、(表現が極端だが)きちんとした綺麗な技を作って対戦も出来る。しかし、より強く、を人間は求める。そうなると、結局対戦格闘としてのバランスを撤廃したエゴ丸出しの暴走ロボットが画面を埋め尽くす結果となる。
個人的には戦う前の技を考えて、ポーザーモードで素体を動かしている時間が無性に楽しい。実際の対戦ではほとんど意味の無いガードポーズをスゴい時間を掛けて調整したり、より見栄えよいパンチ・キックのモーションを考えたりと、目線が異なる事で楽しさも変化するのだ。この遊びの広さを提供してくれたこのゲームもベストゲームとして迎え入れたい。
恋愛ゲームにラブホテル経営(と称したアクションゲーム)モードを融合したエロゲー。
基本は恋愛アドヴェンチャーゲームであり、マップ内の各場所で女の子をハングアウトしてイベントを発生させていく内容。イベントを進行させる為には、プレゼント等で各女の子との恋愛度を上げていく必要があり、その為の資金捻出としてラブホテル経営モードがある。
経営モードとは名ばかりで、実際はアクションゲームに近く、客の要望に応える為に各種アイコンを部屋にドラッグ&ドロップしていく。この作業は、ホテルが大きくない場合は部屋数も客数も少ないので、余裕で行えるのだが、部屋数、客数が増加するとその忙しさはかなりのアチョー度となる。但し、客のサイクルが早い=利益が出るという事で、経営者としてはそちらに舵を切っていく事が正しい。個人的には、部屋数だけ増やし、客を回転させる為の自動チケット販売機などの設置はやらない方が良いと感じる。経営パートが難しいと感じる人は敢えて客回転率を上げないという方法が良いだろう。
経営パートも普通に面白いのだが、このゲームで感心したのはアドヴェンチャー部分での各女の子とのシーンの丁寧な描写だ。
個人的な偏見かもしれないが、一般的なエロゲーのエッチシーンは過激な描写に走りがちで、特にセックスシーンでは女の子が喘ぎを連呼して終わっているモノが多い。しかし、このゲームでは、各シーンでの女の子に対する主人公の気持ちや心遣いがキッチリ描写されており、純愛ゲーム的な雰囲気を醸し出している。
エロゲー=ヤリまくり、というのは完全に偏見だが、正直どのゲームも抜かせる事を重点に置いている為、純愛路線でも女の子はセックス時に男の喜びそうなセリフを言いながら喘いでいるだけではないだろうか?こんな展開に慣れていたせいか、このゲームのエッチシーンの叙情的描写には衝撃を受けた。
エロゲーなので当然セックスシーンはあるが、アニメ系のキャラデザインと先の叙情的なシーン描写で実用的とは言い切れない。しかし、そういう抜きゲーをお望みであればこのゲームはプレイせず、そういった即物的なゲームをプレイして結構ですよ、とこちらからお断り出来るほどの説得力がある。
また、エッチシーン専用の繊細なBGMもその事を後押ししている。
エロゲー=抜きゲーという妙な先入観に風穴を開けたこのゲームは、間違いなくベストゲームと呼べる作品である。
かつて特別賞を受賞した「MudRunner」 の続編で、オフロードを走破し物資を届けるゲーム。
オープンワールドであるマップ内の各施設に必要とされる物資を届けるだけのゲームだが、その悪路振りが凄まじい。ルート選定の際、酷い悪路であるが近道・比較的楽に走破できるが燃料消費が激しいと、各マップで上手く調整が出来ていて、プレイヤーによるルート選定がゲームのアクセントとなっている。また、運ぶ貨物によってもルートの難易度が変化し飽きさせない。
悪路の為搬送途中の横転やハマりが絶えず、都度やり直しや救出作業を強いられる。しかし、そのリトライがクセになるという、ある種マゾ的な面白さがあるのだが、これもマニアックでニッチなゲームとされる遠因ではないだろうか?
一応目的がある為、各種ミッションをこなしてお金を貯め、パワフルな車両を買ったり車両のカスタマイズが行えるが、そうでなくてもマップを走る事自体が楽しく、更にDLCでマップが増える事を考えると、個人的には一生遊べるゲームなのではないか?と思っている。
実際のルート選定⇒実運転ももちろん面白いのだが、特殊貨物(長い丸太)を積み込むアタッチメントの操作や、フォークリフト等の特殊車両の操作がまた面白い。(普段体験できない事を疑似的に体験できる面白さだ)
それを含め非常にニッチなゲーム性ではあるが、ずっとプレイしていたいと思わせるのは、非常にバランス良く作られているからだと思う。
マップ構成は勿論、リアルであるがシミュレーションというよりはゲーム寄りの車両の挙動、いざという時の車両回収等、プレイヤーの不満を軽減する作りは好感触。
そこが、個人的にプレイ時間が歴代2位という所に繋がっているのだろう。これだけやり込んだゲームはベストゲームと呼べるはずだ。
今回のベストゲーム第1位は「DEAD OR ALIVE 6」で決まりだ!
このゲームに関しては、1日5~9試合という縛りで、1年を通してほぼ毎日プレイしていた。steamのアクティビティへの投稿も欠かさず行っていたので、知る人であれば納得の順位ではないだろうか?
長いゲーマー人生であるが、後にも先にも同じゲームをこれだけ継続してプレイしたのは現在の所このゲームだけである。
では、何故プレイし続ける事が出来たのか?それは、プレイキャラであるNiCOの存在がほぼ全てである。ゲーム同様、これだけ一人のキャラクターに惚れ込んで使用し続けたのも初めてだ。
しかし、NiCOの魅力を語るのは難しい。何故ならキャラの造形や使用する技の特定部分が好き、というわけでは無いからだ。勿論最初はキャラ造形が好みだったので使い始めたのだが、それでも使い続ける理由としては弱い。特別強いキャラ、というわけでもなさそうだし、その線も薄い。使い続けるうちに慣れたという事もあるが、全体的な使いやすさという部分が現時点で思いつく魅力だ。
そして、同じキャラを使い続ける事でデッドオアアライブ(DOA)というゲームの面白さを理解して行った。
DOAの面白さは、勝負での読み合いに勝った時のカタルシスだ。(正確には攻防内で相手の攻撃をホールドで獲った瞬間のカタルシス)
つまり「ホールド」というシステムが全てと言える。(当然打撃・投げ・ホールドの3すくみが前提)これは、CPU戦であれ対人戦であれ同じ事。実際これだけプレイし続けながら対人戦をほぼしていないが、CPU戦でホールドで読み勝った時は「やった!」という気分で盛り上がる。(これは、完全に対戦格闘ゲームのプレイスタイルによるものだが・・・)
ただ、個人的には、CPU戦メインでプレイしてきたから、ここまで継続してプレイ出来たのではないか、とも思っている。試合で負けた時の悔しさ度合いでいえば、対人戦とCPU戦では天と地ほどの差があるだろう。対人戦で凹んでいたらここまでプレイし続けたかどうかは甚だ疑問だ。
ホールドに関しては、紹介ページでも述べているが、理解する事で初心者でも強敵と渡り合える可能性を与えてくれている仕様だ。通常であれば延々と続くコンボを決められた瞬間諦めの極致となるが、DOAではコンボを止め逆転への糸口がつかめるのだ。対戦格闘ゲーム初心者としては、この仕様は魅力的だ。
DOAというゲームは、初代の頃から(と言っても初代は微妙だが・・・)ゲームの基本である3すくみのシステムが売りで、そこを理解してもらう為の継続プレイモチベーションとして女性キャラの描写に力を入れてきた。その傾向はシリーズを重ねる毎に顕著になっている。これは決して悪い事ではなく、実際私の様にゲームの面白さに目覚めるプレイヤーもいるわけだからむしろ正解と言える。
次の段階として、DOAの面白さというものを他の人に伝えていきたいと考える事が出来るかどうか。ここまでプレイし続けている身としては前向きに考えなければならない段階であると思っている。
<総評>
2022年のベストゲームは全体的に軟派なイメージのゲームが揃った。
エロゲー2本とDOA(敢えて軟派とする)でランキングの半分が軟派系となる。
そんな中、「Quickie A Love Hotel Story」は、プレイし始めてからすぐにベストゲーム候補にノミネートする程の完成度で、更に年間を通じてアップデートで魅力を維持し続けた。そのアップデートでもエロシーンをないがしろにしない丁寧な作りが維持されていて、作り手の本気度合いを感じる事が出来たゲームだ。
今年は各ゲームをプレイしながら、そのゲームの面白さは何処なのか?と考えながらプレイする事が多かった。その中で一つ言える事は「掴みの重要性」だ。最初にどれだけプレイヤーを惹きつけるかではなく、プレイヤーに継続して遊んでもらえるか、が重要なのだ。当たり前と言えば当たり前だが、特にノベル系で同じ汎用システムで開発されている場合は、先ずグラフィックのレベルで決まる。グラフィックが見たい!でプレイし始めるわけだが、この部分も現在ではほば同一線上のレベルである。
その後の展開でどれだけ継続してプレイして貰えるか。エロゲーであればエロ(サービス)シーンが出し惜しみされれば継続プレイはされないであろう。
これは、海外のエロゲーではかなり顕著な現象である。ゲーム自体は汎用システムであり、CGに関して言えばグラフィックエンジンも同じなのか、どのゲームも同じようなモデルである為差別化がされているとは言えない状態。(言葉が判らないので理解できる部分はグラフィックとなる為良く判る)この状態でいざプレイをした場合、サービスシーンが序盤にあるかないかは、プレイモチベーションに大きな影響を与える。
これはあくまで単純な例だが、最初のプレイで如何にプレイヤーに快適感を与えるか、いわばアメとムチのアメを用意するかが重要という事が判る。
その意味を踏まえ、改めて今回のベストゲームを見てみると、どのゲームも継続プレイをさせる為に何らかの仕掛けをしている事が判る。そう考えると、概ね納得のいくランキングだったのではないだろうか。
DOA6の所で述べたが、こういったランキングを発表する事で少しでもそのゲームに関心を持って頂けたら幸いであるし、今後は様々なゲームのレビューを通してゲームの面白さをより判り易く紹介出来たら、と思っている。これまでは、自分の感覚を元に面白い・つまらないと判断してきたが、今後は出来るだけロジック的に考えて、面白さの本質を紹介出来る様な文章を書いていきたいものだ。
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